高知県柔道の現況と課題解決に向けて
寛藤次男
令和5年度の定期総会において、当協会の運営に尽力された前会長の久保雅資先生がご勇退し、私が後任に選出されて早1年が経とうとしています。
自身のこれまでを省みますと、「2002年高知国体開催決定」に伴い当時の会長からご指名いただき、協会理事となってからの28年間は大変貴重な経験を積むことができました。しかし、そのほとんどは当初に任された「強化」のみに注力し、本県の柔道全体または協会組織の現状を俯瞰して課題を明確にし、課題解決に向けての方向性やその具体的行動、そして検証作業が十分ではありませんでした。
新会長となり、改めて本県が抱える課題とその課題解決に向けての取り組みについて挙げたいと思います。
本県が抱える課題
課題はいくつかありますが、喫緊に取り組むべきこととして「競技人口減少への対応」が挙げられます。これは本県だけではなく、全国的な傾向といえます。以前から県人口に比例して全国では下位にあった競技人口ですが、ここ15年程で急激な減少傾向にあります。特に女子選手の減少が顕著であり、令和5年度の全国高校選手権大会女子団体戦の県予選に参加できる学校が「ゼロ」になったことは、県関係者にとって衝撃でした。特別な事情を除き、全国大会団体戦への「不参加」は全国初ではないかと思われます。加えて、個人戦においても3階級に1名ずつの参加(県高校全体で3名の登録者)という現状です。中学生女子も県全体で11名であり、極めて深刻な状態です。
本県女子中高生の過去の活躍は、昭和61年の全国高校選手権大会の第1回女子体重別50㎏級での2位入賞を皮切りに次々と全国大会入賞者が出ました。平成18年度は全国高校総体と全国高校選手権大会においてそれぞれ団体3位に入賞。個人優勝者や2位、3位入賞者を多数輩出するばかりか、世界ジュニア選手権52㎏級優勝、その他ジュニアの国際大会でも優勝、入賞者を複数輩出しました。中学校でも全国中学校大会で団体優勝2回、個人優勝者も2校から4年連続輩出する等、競技人口が多くないながらも活気がありました。
女子競技者数増加の必要性は、当時から機会を捉えて提議していたものの、具体的な対策案を出して実施するところまで行動に移せなかったことが大きな反省です。
女子ほど極端ではないですが、男子の中高生の競技人口も年々減少しています。高等学校では全国総体の県予選に参加が6校、中学校も同じように県予選参加が7校です。3年生の参加がない県新人戦に至っては、高校が6校、中学校が4校のみの参加となっています。そして、中高生の減少に比例して成年(大学生・社会人)の競技人口も減少傾向となっています。
課題解決に向けての具体的な取り組み
私が会長に就任してすぐ、協会内に「普及委員会」を正式に設置しました。そして、委員会としての取り組み内容の決定と、それに懸かる障壁を予想して活動の具現化までの過程を明確に示してもらい、協会組織として共有するところまでを2ヵ月で終えることとしました。
具体的な取り組みを紹介すると、まず県スポーツ課の強化対策金を利用した「全高知」という小学生から成年までが一堂に会する練習会を、年間を通して約1ヵ月半に1度実施しました。次いで8月に地域の保護者や少年柔道指導者対象のアンケートと「未経験者対象の柔道教室」を実施しました。そして12月に前全日本男子監督の井上康生氏やパリオリンピック90㎏級代表の村尾三四郎選手が所属するジャパンエレベーターサービス柔道部のご厚意で、「高知柔道フェスタ」を実施しました。このフェスタは、県教育委員会や県スポーツ振興財団ともタイアップして、チラシの配布やマスコミに事前事後のニュースとして取り上げていただき、期待以上の成果を上げることとなりました。
このように、令和5年度は「普及」に向けての取り組みを具現化することができました。しかし、これを競技人口増加へと向けることは2年や3年では不可能であり、5年から10年後を目指して取り組まなければならない課題と捉えています。次年度以降の展開は、今年の取り組みを一過性で終わらせず、ブラッシュアップして組織としての取り組みとします。
終わりに
以上のように、本県の柔道競技者人口の現状は危機的な状態にあります。そして、これは一朝一夕に解決できるものではなく、1年ごとの検証と改善を地道に繰り返していかなければならず、その道のりは長いと思われます。しかし、合同練習会で直向きに取り組む中高生の姿や、「柔道フェスタ」に参加した小学生の輝くような笑顔を目の当たりにし、私たち大人が使命感を強く持って取り組まねばならないと強く決意した次第です。
これまでの自身を振り返ると、岐路に立ったとき必ず「人」がいて導いていただきました。「柔道」に携わる人の導きがあり現在があります。特に、大学時代に恩師の小山泰文先生に師事したことは、私の大きな財産となり、卒業後の県立学校教諭・教頭・校長職を務めるにあたり、その時その立場での考え方や行動の源となりました。これからも先生の教えを守り、協会運営に尽力し微力ながら柔道の発展に寄与していく所存です。
(高知県柔道協会長)








