秋田県柔道連盟の課題とその対応について
佐藤信英
はじめに
今年4月の秋田県柔道連盟理事会において、長年会長職を務められた遠藤純男前会長が勇退されたのに伴い、私が第12代会長に選任されました。歴代の会長は、全日本選手権大会で活躍された方々や実業界の重鎮であり、実績も乏しい私が大任を仰せつかったことに、大きな責任と重圧を感じております。同時に、柔道に携わってきた経験を最大限に活かし、身を引き締めて職務に取り組みたく思います。
本連盟は、「秋田県柔道有段者会」として発足し、昭和23年に「秋田県柔道連盟」として改組されて以来、県内柔道界を牽引してまいりました。歴代会長は、他団体との連携や会員間の絆を大切にし、困難な状況でも信念を持って柔道界の発展に尽力されてきました。その姿勢は現在も脈々と受け継がれており、私も微力ながらその志に近づけるよう努める所存です。
本県連盟の課題とその対応
近年、柔道を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。少子化の進行、ライフスタイルの多様化、新型コロナウイルス感染症の影響等、複合的な要因で県内の柔道競技人口は年々減少を続けています。これは全国的な傾向でもありますが、本県においては、地方特有の人口減少や過疎化の影響があって、より深刻な状況となっています。例えば、毎年5月に実施している小学生の学年別大会では、今年度の参加者が254名と、15年前の約半数にまで減少しており、道場の継続や大会運営自体が危ぶまれる事態も現実味を帯びています。
柔道は、単なる競技に止まらず、「礼に始まり礼に終わる」という精神に象徴されるように、人格形成に資する武道として広く親しまれてきました。畳の上で学ぶ忍耐、努力、思い遣りといった価値観は、勝敗を超えて今も変わらぬ教育的意義を持っています。しかし、そうした柔道の魅力を未来へつなげていくためには、現状を正しく認識し、時代に即した新たな取り組みが不可欠です。本県連盟では、初心者向けの柔道体験会や親子柔道教室の開催をはじめ、全日本柔道連盟も推奨している「転び方教室」の導入や、楽しみながら体力向上を目指す「ACP@柔道場」の推進などに取り組んでいます。これらの活動を各道場や合同練習会にて展開することで、これまで柔道に接点のなかった方々にも門戸を広げ、柔道の持つ堅い・怖いといったマイナスイメージの払拭を目指しています。
また、学校教育との連携強化も重要な課題です。中学校・高校における武道授業で柔道が選択されやすいよう、県教育庁保健体育課と連携し環境整備を進めています。同時に、教員の指導力向上の支援や部活動の活性化にも注力し、安全な指導体制の確立を図っています。さらに、秋田県スポーツ科学センターとの連携を通じて、怪我予防やコンディショニング指導など、スポーツ医科学の知見を活かした取り組みも進めており、安全で安心して続けられる柔道環境の構築を目指しています。
加えて、もう一つ大きな課題が、中学校卒業後に県外私立高校へ進学する生徒が急増していることです。これは柔道に限らず他競技でも共通する問題であり、県内公立高校の入試制度や、県外私立高校の積極的なスカウト活動などが影響していると考えられます。この課題には、秋田県スポーツ協会とも連携し、入試制度改革を視野に入れた対応を進めたいと思います。また、中・高合同練習会などを活用し、県内高校の魅力や指導者の熱意を積極的に発信することも、進学先としての選択肢を広げる一助になると考えています。
柔道を生涯の道へ
柔道は、競技者としての道を離れた後も、生涯スポーツや健康維持、地域交流の手段として、幅広い世代に親しまれる可能性があります。本県連盟では、誰もが柔道を「生涯の道」として歩めるよう、環境整備を進めたいと考えています。その一環として、無理なく楽しみながら柔道に親しむことを目的とした「7割柔道クラブ」の導入を検討しています。例えば「疲れたら無理をしない、相手が疲れていると感じたら無理をしない」といった、柔道の楽しさ、思い遣りを大切にする新しい取り組みです。11月には全日本柔道連盟にご協力をいただき、「7割柔道クラブinAKITA」を開催予定です。この活動が広がれば、現在停滞している昇段者の増加にもつながると期待しています。
本県連盟は今後も、「柔道を愛するすべての人のために」を合言葉に、柔道の普及・発展、安全な指導体制の構築、そして競技人口の増加に向けて全力で取り組んでまいります。引き続き皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
(秋田県柔道連盟会長)








