今月のことば 2025年10月

鹿児島県柔道会長に就任して

鹿倉 貢

はじめに

 去る令和7年5月10日の公益財団法人鹿児島県柔道会定時評議員会、その後の臨時理事会において会長に就任いたしました。もとより若輩者ではありますが、北哲郎前会長に引き続き、何卒よろしくお願いいたします。

本会の組織

 本会は昭和21年に設立され、今年で80年目という歴史があり、私は5代目の会長になります。また、平成25年に公益財団法人として組織を改変し、公益性を高め、競技団体としての信用を得ました。理事15名(業務執行理事は会長及び副会長2名)と評議員20名、監事2名で構成しています。

本会の運営

 事務局は、基本的に会長及び副会長(事務局長と兼務)と事務局職員1名の3名を中心に運営していますが、本会が主催する9つの大会については理事に協力をお願いしています。理事もそれぞれ本業があることから、業務を分担し各大会に理事3名を割り当て、大会の準備・運営を担当していただき、大変助かっています。

本会の運営方針

⑴ 前会長の方針を引き継ぎ、「教育柔道」と「競技力の向上」を二本柱として、柔道本来の目的である「世を補益する人間の育成」と、「国民スポーツ大会をはじめとする各種大会での上位入賞」を目指します。

⑵ 「薩摩柔道ルネッサンス宣言」(※)は、古く江戸時代から伝わる薩摩の「郷中教育」の指導徳目を基盤として平成17年に考案されました。本会主催の小・中学生大会では、開会式において、これを全員で唱和しており、教育的効果が期待されます。

今後の取り組み

 これまでの「教育柔道」と「競技力の向上」の二本柱を継承しつつ、県民に信頼される本県柔道会となるよう、さらに付加価値を高めるために以下の取り組みにも重点を置きたいと考えています。

⑴ 組織体制の充実

 ・ 財政の健全化と必要に応じた収益事業の実施。

 ・ IT化に努め、業務の効率化を図る。

 ・ 報告・連絡・相談を密にし、業務分担化による各人への負担軽減を図る。

⑵  競技人口の拡大

・ 道場やクラブ、中高生の部活動加入者の増加を目指し、部活動の地域展開への効果的推進を図る。

 ・ 指導者の養成と拡大を図る。

⑶ 柔道の教育的価値の認知度をさらに高める取り組み

 ・ 各種事業の機会に、小・中・高校生及び保護者への啓発を図る。

 ・ ホームページや広報活動の充実を図る。

今の子どもたちの現状

 昨年11月の報道によれば、令和5年度の本県の公立小・中・高生の不登校が過去最多の5432人と6年連続で増加し、いじめの認知件数も154人増の1万666件でした。また、昨年度の全国の小・中・高生の自殺者も過去最多の527人という報道もありました。

 今の子どもたちは、核家族化や少子化、外遊びや体験活動の減少、ゲーム依存症の増加などが原因で、協調性が欠如し、協働することが苦手であるケースが多いようです。そのため学校生活に対してやる気が出なかったり、人の痛みが分からず自己中心的な考え方をしたり、いじめに関わったりする子どもたちが増加しています。

 このような状況の中、日本で生まれ、指導理論がはっきりしている柔道を習うということは、今の子どもたちにとって大変意義のあることだと考えます。

 残念ながら、本県の柔道人口は減少傾向にあり、さらに新型コロナ感染症がさらに拍車をかけ、全柔連登録者数は令和元年度と比較して、令和6年度は小学生で約40%、中学生で約23%、高校生で約32%減少しています。

 特に高等学校においては、県大会への参加チームがここ数年で激減しました。文部科学省は高等学校においても部活動の地域展開を視野に入れていますが、まだ具体的な取り組みはないようです。中学生までの競技人口を少しでも維持するためにも、高等学校における部活動の地域展開に期待するとともに、本会も協力していきたいと思っています。

指導者の育成

 今の少年柔道の指導者は、かつて私が高等学校の部活動を指導していた頃に活躍していた選手たちで、彼らが県内各地に指導者として戻り活躍している姿を目にします。これは大変貴重なことであり、指導者の教え子が指導者となってまた教え子を育てていくという流れを県内各地で実現できれば、柔道の競技人口も維持・増加が見込まれるのではないかと思います。

 是非とも指導者には「後継者育成」を常に意識して指導に当たっていただきたいと思います。単純明快なことですが、競技人口を増やすためには、その指導者を増やすことであります。そんな正のスパイラルを描いていけるような競技団体にしたいと思っています。

終わりに

 6月に本県で日本ベテランズ国際柔道大会が開催され、本県からも多くの参加者があり30名の入賞者が出ました。これを機に生涯スポーツとしての柔道に取り組む人たちも増えていくことを期待しています。

 そして柔道に関わる、或いは関わった人たちが、嘉納治五郎師範が唱えた、世を補益する良き社会人として、郷土ひいては日本の発展に貢献できるような、そんな人たちが増えていくことを願って止みません。

(鹿児島県柔道会長)

※「薩摩柔道ルネッサンス宣言」

 私たちは柔道をとおして

 一、立派な人間になります。

 一、弱い者をいじめません。

 一、ウソをつきません。

 一、礼儀を正しくします。

 一、自分に負けません。

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